出版社が作家から訴えられる、続:赤本出版社が作家から訴えられる等「2次利用」トラブルが著作権では多い。

1.「出版社が作家から訴えられる 」

■入試問題集に小説などの作品を無断で掲載され著作権を侵害されたとして、作家の谷川俊太郎さんら26人が5日、教材出版社の英俊社(大阪市)に計約260万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたようです(四国新聞社 2005/12/05)。

(試験問題としての複製等)
第三十六条  公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

●この規定で学校社入試問題を作家に無断で使えるわけです。しかし,その入試問題を第三者が複製するには許諾が必要です。なぜかというと

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

●著作権者は複製権を持っているわけです。引用にも当たりませんから,これは完全な著作権侵害行為でしょう。

●民事上は差止請求,不法行為(民法709条)による侵害賠償請求が可能です。

(差止請求権)
第百十二条  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

●刑事罰もあります。

第百十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二  営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者

訴訟は意外と簡単に決着が付くかもしれません。

2.続:赤本出版社が作家から訴えられる

■今年の平成17年4月にも、前回お届けした教材出版社の英俊社(大阪市)に計約260万円の損害賠償を求めたものと同様の訴訟がありましたね。入試の「赤本」で知られる、大学別に編集された過去の入試問題集において,入試問題に使われたエッセーや論文をそのまま掲載していた世界思想社教学社(京都市)に、無断転載されたとして、作家、学者ら12の個人や団体が同社を相手に計734万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていました。

訴えを起こしたのは劇作家平田オリザ氏,作家なだいなだ氏,政治学者の京極純一氏,イラストレーターの五味太郎氏,社会学者の鶴見和子氏のほか,詩人の故・寺山修司氏や作家の故・川端康成氏の著作権を継承した家族や団体なども含まれているようです。

やはり,原告らが会員となっている著作権管理団体「日本ビジュアル著作権協会」が教材の出版会社、進学塾などを相手に相次いで著作権侵害訴訟を起こしており、その中で起こったようです。

(試験問題としての複製等)
第三十六条  公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

●この規定で学校などが入試問題を作家に無断で使えるわけです。しかし,その入試問題を第三者が複製するには許諾が必要です。なぜかというと

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

●著作権者は複製権を持っているわけです。引用にも当たりませんから,これは完全な著作権侵害行為でしょう。

●民事上は差止請求,不法行為(民法709条)による侵害賠償請求が可能です。

(差止請求権)
第百十二条  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

2  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

●刑事罰もあります。

第百十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者

やはり,訴訟は意外と簡単に決着が付くかもしれません。

もっとも、こういうことに備えて、入試問題などで、2次利用をするときの規約を著作権管理団体は定めるのはどうでしょうか。

不意打ちは驚きますよ、誰でも。

相続おもいやり相談室の最新情報をお届けします