システム開発契約における上流工程と下流工程では、契約書にどのような違いあるのであろうか。

1.システム開発に不可欠な2つの契約

システム開発においては、どのようなシステムを作るかという構想自体を練ったり、システム仕様が明確ではない段階でシステム化計画や要件定義を行う過程と、システム仕様が明確に定まって、その仕様どおりに成果物を完成させ、納品する過程に分けることが出来る。

そこで、一般に、システム化計画や要件定義を行う工程は「上流工程(フェーズ)」、開発要件が定まって実際に動くシステムを開発する工程は下流工程(開発フェーズ)と呼ばれ、この両者では、契約の性質が大きく異なる。

前者は、準委任契約であり、後者は請負契約である。

この2つの契約パターンをうまく組み合わせれば、開発のリスクを低減することができる。

仕様が明確に定まっていない開発案件の段階から一括して請負契約を蹄結してしまうと、後に開発仕様が膨らんでしまったり、完成しているかどうかを巡ってトラブルになったりする。

これを防止するために、仕様の確定までは準委任契約として、仕様が固まってからは請負契約として、業務の性格によって契約を2つにフエージングして受託し、サービスを提供することが適切である。

2.上流工程(フェーズ)と下流工程(開発フェーズ)

(1)「上流工程(フェーズ)」契約…準委任契約

上流フェーズは、顧客の漠然とした問題・目的意識から出発して、システム開発に対する考え方や枠組みを整理するためのコンサルティングや開発するシステムについての要件定義を支援するサービスが中心になる。   こうしたサービスの特徴は、完成を約束することよりも、サービスの過程で顧客に対して、その過程で軽率な判断ミスやチェックの漏れがないように注意深くサービスを提供するという準委任契約である。  準委任契約では、受任者の注意義務は「善良なる管理者としての注意義務(略して善管注意義務)」といわれ、サービスの過程できちんとした仕事をしていれば、成果については必ずしも責任を負わないという内容でもあるわけで、委託者と受託者の間の信頼関係が重視されるタイプの契約である。

(2)「下流工程(開発フェーズ)」契約…請負契約

開発フェーズでは、明確に定まった仕様に基づいて成果物たるシステムをきっちりと完成させて納品することがサービスの目的となる。  この場合には、受託者がシステムを仕様どおりに完成させる完成義務があり、後に開発のミスなどで欠陥があることがわかった場合にはこれに対応しなくてはならないので、請負契約であり、成果物の納品後も瑕疵担保責任を負う。   この請負契約では、納品後成果物に関してどのような責任を負うのか契約で明確化しておくことが大事である。  また、請負契約では、納品すべき成果物の納期、金額の対価が明確となっているので、納品すべき成果物の内容について変更が生じる場合には、同時に納期、対価の変更を行う。

3、契約書の作成と建設業の許可

(1)契約書作成…一般契約書・英文契約書作成

契約書作成には、契約書書式や契約書雛形(契約書サンプル)を参考にします。
これらの契約書書き方をよくみて業務委託契約書や雇用契約書、請負契約書等を作ります。近年では労働契約書も交わすのが当たり前になってきております。
また、グローバル化時代を反映して英文契約書が一層重要になってきており、英文のビジネス文書文例をみて企業が英文契約書作成をすることが多いです。
売買契約書、不動産売買契約書、取引基本契約書はビジネスでの基本契約書ですからすべてのビジネスマンにできるようになる必要があります。

(2) システム開発と建設業の許可

システム開発に付帯して、一定規模以上の電気工事、電気通信工事などを受託する場合には、都道府県知事又 は国土交通大臣の許可を必要とすることなどが「建設業法」で定められています。

◆契約書全般については、契約書作成の実務ノウハウ:書面がないと無効な契約・よくある作成ミス へ。

ウオーターフォール形式とアジャイル形式

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