最高裁判所の著作権に関する重要判例 ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件

◆越路吹雪さんの大ヒット曲。複製権の侵害なのか?

『著作物の同一性』ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件(S53. 9.7)

「既存の著作物に接する機会がなかつたためその存在、内容を知らないでこれと同一性のある作品を作成した者は、右著作物の存在、内容を知らなかつたことにつき過失があると否とにかかわらず、著作権侵害の責任を負わない。」

「…著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうと解すべきであるから、既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地はないところ、既存の著作物に接する機会がなく、従つて、その存在、内容を知らなかつた者は、これを知らなかつたことにつき過失があると否とにかかわらず、既存の著作物に依拠した作品を再製するに由ないものであるから、既存の著作物と同一性のある作品を作成しても、これにより著作権侵害の責に任じなければならないものではない。
 …A楽曲又はその一部である甲曲は、わが国において…誰でもこれを知つていたほど著名ではなく、…乙曲を作曲した当時A楽曲の存在を知つていたとしなければならないような特段の事情はなく、更に、甲曲と乙曲とを対比すると、動機を構成する旋律において類似する部分があるが、右類似部分の旋律は、A楽曲や乙曲を含むB楽曲のようないわゆる流行歌においてよく用いられている音型に属し、偶然類似のものがあらわれる可能性が少なくない…著作権を侵害したということはできない。…」

相続おもいやり相談室の最新情報をお届けします