1.フェアユースの導入議論の経緯
フェアユースを我が国の著作権法に導入すべきかどうかについては、すでに、麻生内閣で導入が検討されて、2010年報告書が出ている。
しかし、導入されなかった。
先だっての、東京 神田 一橋講堂での著作権法学会に出席したときに、若手の弁護士の感性的な報告につっこっみが古株からあった。
また、法改正でも当局から論及があった。
・「平成30年改正」で、
(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備
改正趣旨として、「我が国の企業の法令順守意識,国民の著作権に対する理解の度合い,訴訟制度,立法府と司法府の役割分担の在り方,罪刑法定主義との関係といった観点を総合すれば,
フェアユース規定のような規定ではなく,明確性と柔軟性の適切なバランスを備えた複数の規定の組合せによって対応することが最も望ましい。
具体的には,通常権利者の利益を害しないと考えられる行為類型と,権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型について,それぞれ適切な柔軟性を持たせた規定を整備する。」
1.著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(第30条の4関係)
2.電子計算機における著作物の利用に付随する利用等(第47条の4関係)
3.電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等(第47条の5関係)
とされたのである。
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2.判例
※ラストメッセージ事件
「本法は、第一条において、文化の発展という最終目的を達成するためには、著作者等の権利の保護を図るのみではなく、著作物の公正利用に留意する必要があるという当然の事理を認識した上で、著作者等の権利という私権と社会、他人による著作物の公正な利用という公益との調整のため、三〇条ないし四九条に著作権が制限される場合や、そのための要件を具体的かつ詳細に定め、それ以上に「フェア・ユース」の法理に相当する一般条項を定めなかったのである。(東京地判平7・12・18)
3.米国版のようなフェアユースの導入はないのか
・フェアユース (fair use、公正利用)は、アメリカ合衆国の著作権法などが認める著作権侵害の主張に対する抗弁事由の一つである。
同国の著作権法107条によれば、著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準のもとで公正な利用(フェアユース)に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない。
著作権者の許諾なしに著作物を利用できる場合について、欧州連合や日本の著作権法のように具体的な類型を列挙するのではなく、抽象的な判断指針として示している。
なお、例えばyoutubeでは、「YouTube は何がフェアユースで何がフェアユースでないかを判断できません。判断できるのは裁判所だけです。」と告げている。
4.youtube での中川総合法務オフィスのフェアユースについてのコメント動画
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