「国際オリンピック委員会は国際機関?」…知的財産権と不正競争防止法

皆さんは、不正競争防止法という法律を聞いたことがあると思います。

著名表示などの知的財産権を保護する法律です。

しかし、この法律の守備範囲はかなり広いのです。

知財の中でも訴訟が急増中です。

注目度は著作権に劣らない位高くなっています。

そして、この法律には、18条1項に次のような規定があります。

(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第一八条① 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。

⇒これは、国際取引における適正な競争経済を守る規定です。

それでは、次の不正競争防止法における、外国公務員等に対する不正利益供与等の禁止に関する問題は正しいでしょうか。

●国際オリンピック委員会の職員に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その職務に関する行為をさせることを目的として、金銭を供与する行為は、罰則の対象とならない。

⇒この問題のポイントは「国際オリンピック委員会」が、不正競争防止法18条1項の「外国公務員等」のいる国際機関といえるかどうかです。(国際機関は同条2項4号に規定があります。)

ここでは国際オリンピック委員会は各国の民間団体により設立された国際団体ですので、18条2項4号の「国際機関(政府又は政府間の国際機関によって構成される国際機関をいう。」にはいりません。

よって、この問題文は正しいのです。

⇒しかし、国際機関の標章の商業上の使用禁止(17条)における、経済産業省の特に定めることで含まれる国際機関には国際オリンピック委員会が含まれます。

同じ不正競争防止法の規定の中でこのように解釈によって国際オリンピック委員会が「国際機関」になったりならなかったりするのです。

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